家庭菜園できゅうりを育てる上で欠かせないのが支柱の設置です。
しかし、家庭菜園できゅうり栽培するとき支柱の高さはどれくらいが良いのか、キュウリの支柱はいつ立てますか?といった基本的な疑問から、きゅうりに支柱を立てると倒れませんか?という不安まで、初心者にはわからないことが多いでしょう。
この記事では、プランター栽培で簡単な一本立てや収穫量が増える二本仕立ての方法、アーチパイプの立て方、さらにはネットなしでの栽培や正しいネットの張り方まで、家庭菜園のきゅうりの支柱に関するあらゆる疑問に答え、丈夫でたくさんの実がなる株を育てるための秘訣を徹底的に解説します。
この記事の内容
- きゅうりの支柱に必要な高さや立てる時期がわかる
- プランターや畑など環境に合った立て方がわかる
- 倒れないようにする工夫やネットの張り方がわかる
- 一本立てや二本仕立てなど栽培のコツがわかる
家庭菜園きゅうりの支柱|基本の知識
※画像はイメージ:家庭菜園の時間
家庭菜園できゅうり栽培するとき支柱の高さは?
家庭菜園できゅうりを栽培する際に、最初に決めるべき重要な要素の一つが支柱の高さです。結論として、きゅうりの支柱は高さ200cm(2m)以上のものを選ぶのが、豊かな収穫への第一歩となります。
きゅうりは生育が非常に旺盛なつる性植物で、品種や栽培環境にもよりますが、夏から秋にかけての最盛期には、最終的な草丈が人間の身長を優に超える2m近くまで達します。
もし支柱の高さがこれより低いと、つるの行き場がなくなり、Uターンして下に垂れ下がったり、地面を這ったりすることになります。
そうなると、葉が密集して風通しが悪化し、うどんこ病などの病気の原因になったり、実が泥はねで汚れて品質が落ちたりする可能性があるのです。
高さ2m以上の支柱となると、市販品では一般的に太さが16mm以上のものが主流です。特にプランター栽培では、土の量が限られ安定性が低くなるため、太すぎず安定感のある16mm程度の支柱が扱いやすくておすすめです。
十分な高さを確保することで、きゅうりはストレスなく伸び伸びと成長でき、太陽の光をたくさん浴びて、たくさんの美味しい実をつけてくれるでしょう。
園芸店では様々なサイズの支柱が販売されています。きゅうり栽培では、株全体の重みを支える安定性と、つるを伸ばすための高さを両立させるため、太さ16mm以上、長さ2.1m以上のものを選ぶと長期間安心して使用できます。
支柱の太さ | 主な長さ | 推奨される用途 |
8mm | 0.9m, 1.2m, 1.5m, 1.8m | 背の低い草花、ミニ野菜、仮支柱 |
11mm | 1.2m, 1.5m, 1.8m | 草花、葉物野菜、ピーマンなど |
16mm | 1.5m, 1.8m, 2.1m, 2.4m | きゅうり、トマト、ナスなど実の重い野菜 |
20mm | 1.8m, 2.1m, 2.4m | ゴーヤ、棚作りなど、より大型で重量のある野菜 |
キュウリの支柱はいつ立てますか?
きゅうりの支柱を立てる最適なタイミングはいつか、これも初心者が迷いやすい重要なポイントです。作業のタイミングを間違えると、後の生育に影響を及ぼすことがあります。
結論から言うと、支柱は苗を植え付けるのと同時に立てるのが、最も安全で効率的な方法です。
きゅうりの根は浅く広く張る性質があり、非常にデリケートです。定植後、根が落ち着くと驚くほどのスピードで成長を始め、数週間もすれば広範囲に根を伸ばします。
つるが伸びてから慌てて支柱を立てようとすると、既に地中に広がっているこれらの大切な根を「ブスリ」と傷つけてしまうリスクが非常に高まります。
根に傷がつくと、そこから病原菌が侵入したり、水分や養分の吸収が滞ったりして、株全体の生育に深刻なダメージを与えかねません。
植え付けの際に一緒に支柱を立てておくことで、根を傷つける心配が一切なく、きゅうりがスムーズに成長のスタートを切ることができます。
最初のつるが伸び始めたら、すぐに用意された支柱やネットに誘引(結びつけること)してあげられるため、その後の管理も非常に楽になります。
「植え付けと支柱立てはワンセット」
きゅうり栽培を始める際は、苗を購入するタイミングで、必ず支柱やネット、誘引用のひもなども一緒に準備しておきましょう。この最初のひと手間が、後のトラブルを防ぎ、栽培全体の成功を大きく左右します。
きゅうりに支柱を立てると倒れませんか?
「2mもの背の高い支柱を立てても、きゅうりが茂り、たくさんの実がなると、その重みや梅雨時期の強風で倒れてしまうのではないか」という心配は、家庭菜園を行う上で当然の懸念です。
結論として、正しい方法で頑丈に構造を組めば、支柱が倒れる心配はほとんどありません。
支柱の倒伏(とうふく)を防ぐための重要なポイントは、「深さ」と「構造的な強度」の2点です。まず、支柱は最低でも30cmほどの深さまで地面にしっかりと差し込む必要があります。
これが支柱の基礎となり、安定性の基本です。差し込みが浅いと、少しの風でも根元がぐらついてしまい、最終的には倒伏の原因となります。
さらに、1本の支柱だけで支えるのではなく、複数の支柱を組み合わせて構造的に強くすることが極めて重要です。
例えば、2本の支柱を斜めに交差させて地面に刺し、上部を固定する「合掌式」は、三角形の安定した構造(トラス構造)を形成するため、横からの力に非常に強くなります。
さらに、大手種苗メーカーの栽培ガイドなどでも推奨されているように、斜めに支柱を追加して補強する「筋交い(すじかい)」を入れると、強度は飛躍的に高まり、台風のような強風にも耐えやすくなります。
倒伏防止のためのチェックポイント
支柱を立てる際は、必ず土に深く差し込んだ後、手で揺らしてみてぐらつきがないかを入念に確認しましょう。また、支柱同士を固定する交差部分は、ビニールひもや専用の固定クリップ(クロスバンドなど)で何重にも巻いて、きつく、解けないように結びつけることが大切です。このひと手間を惜しまないことが、収穫最盛期に悲しい思いをしないための最大の保険となります。
プランター栽培での支柱のポイント
ベランダや玄関先など、限られたスペースで楽しむプランター栽培では、支柱の立て方にも畑とは異なる工夫が求められます。結論として、プランター栽培では、省スペース性を保ちつつ、最大限の安定性を確保できる立て方を選ぶことが成功への鍵となります。
畑と違い、地面に支柱を深く刺して固定することができないため、プランター自体の重さと土の重さ、そして支柱の構造全体で安定させる必要があります。
そのため、できるだけ深さが30cm以上ある大型のプランターを選び、倒れにくい安定した支柱の組み方を採用することが非常に重要です。
プランター栽培におすすめの支柱の立て方
- あんどん仕立て: 3〜4本の支柱をプランターの縁に沿って垂直に立て、市販のリングやビニールひもで数段にわたって囲う方法です。見た目が照明器具の「行灯(あんどん)」に似ていることから名付けられました。全体がコンパクトにまとまり、狭いベランダでも管理しやすいのが最大の特長です。きゅうりのつるがリングに絡みながららせん状に伸びていきます。
- 交差組み型(やぐら式): プランターの四隅に支柱を立て、上部を中央で束ねてピラッド状にする方法です。構造的に非常に安定しており、四方からの風に強いのがメリットです。見た目もおしゃれで、立体的に栽培を楽しめます。
- スクリーン仕立て: プランターの両端に支柱を立て、その間にネットを張る方法です。壁際にプランターを置く場合に適しており、つるを平面に誘引できるため管理がしやすくなります。
ご自身の栽培スペースと、使用するプランターのサイズや形状に合った、無理のない方法を選ぶことが、ベランダでのきゅうり栽培を長く楽しむためのコツです。
支柱を立ててネットなしで育てる方法
きゅうり栽培といえばネットを張るのが一般的ですが、「ネットを張るのが面倒」「資材をなるべく増やしたくない」といった理由で、ネットなしでの栽培を考える方もいるかもしれません。
結論から述べると、ネットなしでも栽培は可能ですが、その分こまめな「誘引(ゆういん)」作業が必須となり、手間は格段に増えます。
ネットがない場合、きゅうりの巻きひげが絡まる場所がないため、伸びてきたつるを支柱に直接結びつけて固定していくことになります。
きゅうりのつるは生育期には1日に数センチも伸びるため、2〜3日に一度はつるの状態を確認し、麻ひもや柔らかいビニールひもで支柱に結びつけてあげる必要があります。
この誘引作業を怠ると、つるが自重で垂れ下がって折れたり、葉が混み合って風通しが悪くなり病気の原因になったりします。ネット栽培に比べて手間はかかりますが、数本の支柱だけでシンプルに育てることも一つの方法です。
ただし、子づるや孫づるを自由に伸ばすスペースが限られるため、一般的に収穫量はネット栽培に比べて少なくなる傾向があります。
ネットなし栽培に挑戦する際は、以下の利点と欠点を理解しておきましょう。
メリット
・きゅうりネットを購入するコストと、設置・片付けの手間が省ける。
・支柱のみで構成されるため、見た目がスッキリする。
デメリット
・こまめな誘引作業が必須となり、管理の手間が増える。
・つるを平面的に広げにくいため、日当たりが悪くなりやすく、収穫量が減る可能性がある。
・葉が密集しやすく、風通しが悪化して病害虫のリスクが高まる。
家庭菜園きゅうりの支柱|立て方と仕立て方
※画像はイメージ:家庭菜園の時間
失敗しないきゅうりネットの張り方
きゅうり栽培でネットを効果的に活用するためには、その張り方が収穫の成否を分ける重要なポイントになります。ただ何となく張るだけでは、その効果を十分に発揮できません。
結論として、ネットは「四方にテンションをかけ、たるまないようにピンと張る」のが、病気を防ぎ収穫量を増やすための最大のコツです。
ネットがたるんでいると、風でバタついてしまい、その振動できゅうりのデリケートな葉や茎、果実を何度も擦って傷つけてしまいます。
その無数の小さな傷口から病原菌が侵入し、病気が蔓延する原因となるのです。一方で、太鼓の皮のようにピンと張られたネットは、きゅうりの巻きひげがしっかりと掴みやすく、つるがスムーズに登っていくのを力強くサポートします。

ネットを上手に張るための4ステップ
- 土台となる支柱を頑丈に組む: まずは合掌式などの方法で、揺すってもぐらつかない頑丈な土台を完成させます。
- 張りひもをネットに通す: ネットの上辺と下辺の網目に、それぞれ「張りひも」と呼ばれる丈夫なひもを通しておきます。
- 上部から固定する: まずは上部の張りひもを両端の支柱に固く、水平になるように結びつけ、ネットを吊り下げるように広げます。
- 下部と側面を強く引いて固定する: 次に、下部の張りひもを力一杯引っ張りながら支柱に固定します。最後に、ネットの側面も数カ所、支柱にひもで結びつけて完了です。
この一手間をかけることで、きゅうりは病気のリスクが少ない快適な環境で、健やかに成長することができます。
アーチパイプの立て方と栽培のコツ
家庭菜園でも少しスペースに余裕があり、本格的に、そして快適にきゅうりを栽培したい方には、アーチパイプを使った立て方が非常におすすめです。
結論として、アーチパイプを組むことで、人が中を通り抜けられるほどの広いトンネル状の栽培スペースを作ることができ、収穫や整枝といった管理作業の効率が格段に向上します。
アーチパイプは、その名の通りアーチ状に曲げられた鋼管パイプで、これを複数本使ってトンネルを形成します。一般的な合掌式よりも内部空間が広くなるため、葉が茂ってきても株の内側まで日光が届きやすく、風通しも良好に保てます。
これにより、病気の発生を抑えつつ、品質の高いきゅうりをたくさん収穫することが期待できます。
アーチパイプの基本的な立て方
- アーチパイプを等間隔に刺す: 畝の両脇に、約1m間隔を目安にアーチパイプを同じ深さでしっかりと差し込み、トンネルの骨格を作ります。
- 直管パイプで強度を確保する: アーチパイプの頂点部分と、肩の部分(左右のカーブが始まるあたり)に、直管のパイプ(直管パイプ)を横方向に渡し、専用の固定金具(クロスバンドやT字バンドなど)で全てのアーチパイプと連結します。この横方向のパイプが、構造全体の強度を飛躍的に高めます。
- ネットを張る: 組んだアーチパイプの外側に、きゅうりネットを張って完成です。
初期投資としてパイプや金具の費用はかかりますが、一度設置すれば分解して何年も繰り返し使用できます。
きゅうりだけでなく、トマトの雨よけ栽培や、ゴーヤ、メロンなど他のつる性野菜にも応用できるため、家庭菜園を長く楽しむ上では非常にコストパフォーマンスの高い投資と言えるでしょう。
基本の一本立てと収穫量を増やす二本仕立て
きゅうりのつるをどのように整理し、伸ばしていくかという「仕立て方」は、収穫量や実の品質、そして管理の手間を大きく左右する重要な選択です。
主な仕立て方には、基本となる「一本立て」と、より多くの収穫を目指す「二本仕立て」があります。
結論から言うと、家庭菜園初心者は管理がシンプルで失敗の少ない「一本立て」から始め、栽培に慣れてきたら収穫量アップが狙える「二本仕立て」に挑戦するのが王道のステップです。
一本立て(一本仕立て)- 初心者向け
植え付けた苗から伸びる一番太い「親づる(主枝)」を1本だけをメインに伸ばし、葉の付け根から出てくる「子づる(側枝)」は早めに摘み取るか、実を1〜2個収穫したらその先を摘心(先端を摘むこと)する方法です。
栄養が親づるに集中するため、形が良く、質の高いきゅうりを長期間にわたって安定して収穫できます。また、構造がシンプルなため風通しが良く、病気の発生も抑えやすいのが最大のメリットです。
二本仕立て - 中級者向け
親づると、株元近く(5〜7節目あたり)から出る勢いの良い子づるを1本だけ伸ばし、合計2本のつるを主軸として育てる方法です。単純につるが2本になるため、栽培面積あたりの収穫量を1.5倍から2倍近くに増やすことができるのが最大の魅力です。
しかし、その分、葉が込み合いやすくなるため、こまめな葉かきや誘引作業が必要となり、管理の難易度は少し上がります。
仕立て方別メリット・デメリット
仕立て方 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
一本立て | ・管理が非常にシンプル ・風通しが良く病気になりにくい ・形の良い実が採れやすい | ・収穫量は比較的少ない | ・初めてきゅうりを育てる人 ・管理にあまり時間をかけられない人 |
二本仕立て | ・収穫量を大幅に増やせる ・スペースを有効活用できる | ・葉が茂りやすく管理が複雑になる ・こまめな整枝作業が必須 | ・きゅうり栽培に慣れている人 ・とにかくたくさん収穫したい人 |
初心者でも簡単な支柱の立て方
これから家庭菜園を始める初心者の方にとって、最も簡単で、かつ十分な強度を確保できる失敗の少ない支柱の立て方はどれでしょうか。
様々な方法がありますが、結論は、これまでにも触れてきた「合掌式」が、安定性、設置の容易さ、コストパフォーマンスの全ての面で最もバランスが取れており、初心者には最適と言えます。
合掌式は、2本の支柱を交差させて地面に刺すという非常にシンプルな構造です。しかし、これにより形成される三角形のトラス構造は物理的に非常に安定しており、横風などの外力に対して高い強度を発揮します。
設置方法が直感的で分かりやすく、きゅうりのつるを両面に誘引するのにも適しています。
初心者でも安心!「合掌式」の簡単設営ステップ
- 資材を準備する: 長さ2m以上の支柱を必要数(畝の長さ1mあたり2本が目安)と、頂点を結ぶための長い横棒用支柱を1本、ひも、きゅうりネットを用意します。
- 支柱を交差させて刺す: 畝の両肩に、約1m間隔で支柱を斜めに、地面に対して60度くらいの角度で深く(30cm以上)差し込みます。隣り合う支柱が頂点で交差するようにします。
- 頂点をひもで固定する: 交差した部分を、ひもで解けないように何重にも巻いてしっかりと結びつけ、Aフレームの形を作っていきます。
- 横棒を渡して連結する: すべての交差部分の上に1本の長い支柱を横方向に渡し、すべてのAフレームとひもで固定します。これが全体の骨格を安定させる重要な役割を果たします。
- ネットを張る: 最後に、組んだ支柱の外側にきゅうりネットを大手メーカーの解説などを参考に、たるまないようにピンと張れば完成です。
この方法は、少ない資材で十分な強度を確保でき、見た目も整然とした美しい畑になります。どの立て方にしようか迷ったら、まずはこの合掌式から試してみることを強くおすすめします。
成功する家庭菜園きゅうりの支柱の立て方
※画像はイメージ:家庭菜園の時間
この記事では、家庭菜園でのきゅうり栽培に欠かせない支柱の立て方について、基本から応用まで、初心者の方がつまずきやすいポイントを中心に解説しました。最後に、美味しいきゅうりをたくさん収穫するための、支柱に関する重要なポイントをリスト形式でまとめます。
ポイント
- 支柱の高さはきゅうりの成長を見越して2m以上のものを選ぶ
- 支柱を立てるタイミングは根を傷つけないよう苗の植え付けと同時に行う
- 支柱が倒れないようにするには30cm以上深く刺し合掌式などで構造を強くする
- プランター栽培ではあんどん仕立てなどが省スペースで安定しやすい
- ネットなしでの栽培は可能だがこまめな誘引作業が必須となる
- きゅうりネットは葉を傷つけないようたるみなくピンと張るのがコツ
- アーチパイプの立て方をマスターすれば作業性が格段に向上する
- きゅうりを頑丈に支えるには筋交いを入れると効果的である
- 初心者は管理が簡単な一本立てから始めるのがおすすめ
- 収穫量を増やしたい場合は二本仕立てに挑戦する
- 初心者でも簡単で最もおすすめな支柱の組み方は合掌式である
- 正しい支柱立てがきゅうりの安定した成長と多収穫につながる
- 仕立て方に合わせて支柱やネットの組み方を計画する
- 支柱の固定には専用クリップを使うと作業が楽になる
- 強風対策を意識して頑丈な構造を心がける